耳をすますと。(すまさなくても)

夜はいろいろな音がするなあ〜。

まず、コタツのファンが回っている音。
「ブーン、カタカタカタ」
後ろから水槽の水の音。
「うううううううう〜ん」

「メシメシ」
「パキ、パキ」
なんだか聞き慣れない音がさっきから。
と思ったら、それはきっと、雪の音。
雪が解けて、しずくとなって、ゆるんだ斜面にぽとりと落ちる。

屋根が「メリッ」とつぶやく。
家の柱がなぜか鳴く。「ミシッ、パキッ」

そしてもうすぐ聞こえるのは、新聞屋さんのバイクの音だ。
「ブ〜ン。タッタッタ。ガチャン。ブーン」

「カタンコトン、カタンコトン」と始発電車が走り、朝が来るはず。

「チッチ、チュンチュン」
鳥がささやいた。..... Read the rest

フィリピンの島

フィリピン
パラワン島。

時間のこととか
幸福についてとか
そんなことを考えるときに、なんだか、きまって想う場所がある。

何もないけれど、それでいいのだ。と思った場所。
何もないと思うのは、多分錯覚で、そこにはすべてがあったのだ。

海があり、森があり、畑も田んぼも、海の生きモノたちも。
太陽や家族。そこにはすべてがあったのだ。
人々は皆あたたかく、やけに幸せそうだった。海岸沿いのゆるやかな時間の流れがそこにはあったのだ。

これでいいじゃないか。

と思った。
なんて幸せな時間と空間が存在するのだと。

2日、3日、4日と島での時間は過ぎていく。
時間に密度というものがあるのなら、それは密度が濃い上に、ゆっくりと過ぎていった。..... Read the rest