ようやく夕陽を見た

引っ越してからいささかバタバタしている。最初の週末は終始雨で次の週末は仕事だった。西に面した海なので日の出は見ることができないのだけれど、朝によく海まで散歩に行った。散歩と言っても10分とか15分なんだけれども、海まで歩いて2分だから、せめて出勤前に海に行きたかった。

それにしても、田舎なのに都会、都会なのに田舎という不思議な場所だった。
葉山の元町という中心街に住居を構えたので、たとえば徒歩圏内にスターバックスがあり、スーパーがあり、ドラッグストアチェーンがあり、土地柄オシャレなカフェが複数ありホテルもある。以前住んでいた駅から20分の川崎よりもよっぽど都会である。しかし、ここには海があり山もある。ただ、夜にお腹が空いてもラーメン屋に歩いて行くことはできないし、バーもない。おしゃれなカフェは軒並み9時にはしまってしまうのだ。

週末出勤の振休を取ったのだけれど相変わらずの雨予報。ただし前倒しで天気は進み回復も早まった。
息子と自転車で近隣探索に向かうと、帰り際に空がものすごく染まっているのが見て取れた。急いで海岸に行くとため息が出るような赤い光景。しかも時間とともに変化し続ける。何名かの近所の夕陽愛好家みたいな方々がいて、その空を眺めては写真を撮っていた。これで心置きなく出張に行けそうだ。

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葉山に引越すことにした

川崎の鷺沼に住んで7年間。
その前は藤が丘、その前は青葉台、その前は中央林間、と田園都市沿線に11年ほど暮らした。鷺沼では子どもができたというのもあり、保育園での友だちや繋がりもたくさんできて、このまま繋がりを活かして小学校へというのが既定路線である。
渋谷まで急行に乗れば20分だし、東名までは10分、丹沢まで1時間、海までも1時間。スキー場はちょっと遠いけれど、都心も自然も隣ではないけれども近いという場所だった。残された自然はあって、メダカをとりができたり、田んぼもあって、緑道沿いを繋げば20kmの気持ちがいいランニングコースを作ることもできた。
まあ、何が不満なのってこと。ひとつだけ強いてあげるとすれば、おそらくそれは「残された自然」という点かもしれない。

子どもが二人になって、昔ほど頻繁に遠くにいくことができなくなってしまった。そしてそこまで遠くに行かなくても子どもと遊んでいるのが楽しくなってきた。だから休みがあれば今日はどこに行こうかと、海へ山へと高速に乗って電車に乗って、飛行機に乗って出かけた。それはなんとも楽しかった。ただ、その自然がもっと身近にあったらな、と日に日に考えるようになった。週一回ないし隔週でダイナミックな自然の中に出かけられたとしても、また翌日には都会の日常に戻っていく。自然が子どもたちにとって非日常ではなく日常だったらいいのにと。

自然の中や田舎で育ったからといって、単純にいい子に育つわけではもちろんないし、都会で育った子と比べて優位性があるとも全く思わない。育った場所で人は決定されない。なんらかの影響はもちろんあると思うけれど。だから子どものためとか教育のために自然の近くに住みたいわけではない。でも、もしも自分が子どもに戻ることができたなら。自分は今よりもっと自然が豊かなところで暮らしてみたいと思ったのだ。日常にもっと自然があるところに。

じゃあ、昔みたいに抜本的に遠い田舎に引越してしまえばいいかもとも思う。結局は都会に縛られているのはどうなのよと。矛盾しているかもしれないけれど、今は都会での仕事が単純に面白くて好きなのだ。今後それをシフトしていきたいと思うかもしれないけれど。なので、都会にぎりぎり通えて、自然が近い場所と絞ると、高尾や藤野などの中央線沿線や小田急沿線などが真っ先に上がるし、湘南方面だっていい。結局は自分の好みなんだけれども、選択肢は逗子と葉山しかなかったように思う。海と山の両方が揃っているところ、海が美しくて澄んでいるところ、ぎりぎり都会に通えそうなところ。春から夏にかけて何度もここに通ったのは好きだったからなんだよね。そしてなぜか、鎌倉・逗子・葉山には友人たちやアウトドアな人々が多数暮らしていて、そこも不思議で解明してみたかったところ。

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と、ここまでは自分だけの想い。
結局ついてきてくれることとなった家族にはかなりの無理を強いてしまったわけで。ふざけんじゃないと思われているのもわかっている。迷ったらやってみる、行ってみる、動いてみる、しないで後悔ならばして後悔の方がいい、なんて方程式は独身時代にしか通用しないものなんだとシミジミと感じたわけで。仕事が遅くなり家に帰って幸せそうな子どもの寝顔を見るたびに、このままでいいんじゃないかなと何度も思った。同時にそれでもな…とも何度も思った。

こんな紆余曲折があり。諦めきれない自分の性格を悪くも貫いてしまい、葉山での生活がスタートすることになった。息子がフルで付き合ってくれるのはあと3年くらいだろうか。遠くの仕事で戦いながら、身近な自然を朝から晩まで心行くまま楽しみたいと思う。