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1.水下痢のハンガーノック
2.風の谷・フンザ
3.氷河の音と、星降る夜と
4.パスー氷河へ
5.4730m、クンジュラーブ峠

 
 

1.中国政府につかまる
2.パミール高原を駆ける
3.天上の世界から下界へ
4.ロバートからの手紙

 
 

1.カラコラムのサイクリストたち
2.旅行データ
3.海外サイクリングマニュアル

 

 

Karakoram Range
1. 4730m、クンジュラーブ峠

 

北へ北へと道は高度を着々と増しながら登っていった。道は国境の町ソストへと続く。ボーダータウンのソストは国境の喧噪とした雰囲気。ちょっと背筋に緊張が走る。それにしても、これほど変わった国境の町もそうないだろう。ここから本当の国境までは実は80kmもあるのだ。ここの標高は2800mくらいだろうか。ここから真の国境線、4730mのクンジュラーブ峠まで標高差およそ2000m。高山病が気にかかる。

 税関で日付入りの出国スタンプを押された。おかしなものだ、出国スタンプを押されようが、今日中には出国できないのだから。

   

ただひたすら上を目指した。作戦通り3900mの旧チェックポスト小屋の近くにテントを張った。空気はひんやりと冷たい。今日の走行時間は9時間。標高差も1500m以上、体はフラフラだが、幾度かのトレッキングが効果的だったようで、高度順化はうまく進んでいるようだ。

 翌日、いよいよ自分の最高標高地点への登りが始まる。それも自転車で、だ。ヒョウが降る中峠へと向かった。大気の薄さはさして感じなかったが、立ちこぎをすると「ゼーゼー」息が切れるので30分おきに休憩を挟みながらゆっくりと進む。 

この数日間走ってきた、峡谷の中を進む道は終わりかけていた。視界は徐々に開け、今まで遠く、高く感じていた周りの山々も目の高さに近づいてくるのであった。
 乾燥して茶色一色だった大地は、うっすらとした緑色に代わり、その上を穴から出てきたマーモットが走り回っていた。

正午を過ぎた頃、僕はおそらく世界で一番高い舗装路になるであろう、標高4730mのクンジュラーブ峠に立った。ここが今回の最高地点、辺りは一面の雪景色である。
「ようこそ」とパキスタンの国境警備隊がにこやかにわらった。

     

 

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