標高5,500mでの下痢にまつわるオハナシ

アコンカグアのベースキャンプが4,300m。その上のCamp1、通称カナダと呼ばれているところが約5,000m。さらに上にキャンプアラスカ、その上に5,500mのニドデコンドレスがあった(コンドルの巣という意味)。ここが最後のキャンプの一つ手前の起点となる重要な場所で、我々は二回ここに上がった。(ヒロキがニドに二度と寒いギャクを言っていたり、実は三度上がってきたチームメンバーもいたけど・・・笑)

一回は高度順化兼、荷物の荷揚げ。そして二回目はアタックのためで一泊の予定だったけれど、天候不順により予定外に4泊もすることになった。人間の体は不思議なことに、ちゃんと高度に順応していく。Basecampの4,300mがほぼ平地レベルになり、このニドも長らくいると、血中酸素濃度も良くなってきたり、あまり息も切れなくなってくる。

そんなこんなのニドはこんなとこ↓とてもステキ

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ただ、強風凄まじかった。あがった日は、山頂から死体が運ばれてきてげんなり。翌日には天気が悪すぎて皆下山していってさらにげんなり。レンジャーにもっと上のキャンプ地でテントが風で6つも潰れたと聞いてもっとげんなり。風で落石で死ぬぞ、と言われたり、君たちがいる予定の期間は風は強風のままだぞと言われたり、ゲンナリオンパレード!それでもこの状況を楽しもーぜ!と持ち前のノリでいきたかったけれど、どうしても辛かったことが一つ。

それは下痢問題だった。
僕はじつは80カ国くらい旅しているんです、それもアフリカとか水が悪そうな国が30カ国とか。だからお腹はさぞかし丈夫だろうと皆に思われているんだけど、小学生の時からお腹だけは常に弱いのデス。ゲーリーというアダ名で呼ばれてしまったこともあるくらい。そんなこんなだから、いつもお腹を壊すのは一番乗りで、ここでも最初っから下痢になったと思う。

原因は明確で、水が良くなかったこと。5,500mにも泉があり、ピッケルで硬い氷を割ると綺麗な水が現れた。それは大丈夫だろうと思っていたのだけれど、味は最悪でとにかく苦い(あとで聞いいたところマグネシウムが多すぎるのではないかという説)。お茶も、尾西のアルファ米も、コーヒーさえも苦すぎる。おかしいなーとみんな思い、最終的には全員下痢に苦しめられた。真っ先にやられたのは自分だったが・・・

平地での下痢はなれっこだしなんてことはないけれど、そこは強風吹き荒れる5,500m。かつてない違う種類の辛い下痢だった。(インドでの寝下痢につぐ、ワースト3入り?)。

兎にも角にも超強風。おしっこが出来ない・・・・予想不可能で立ちションをすると自分にかかってくる。でもすぐ凍るので、振り払えばウェアから落ちる。なので、おしっこも膝をついてしていた。

で、大きい方はどんなあんばいだったかというと。
手順としては、まず、風を避けられそうな場所を探す。(でもそんな場所は100%存在しなかった。つねに強風だった・・・・)
風にやられないように、しっかりと耐風姿勢でポジションを固める。具体的には、砂を固めて、膝の置き場を作る。
それから手袋を外し、ペーパーを岩の間にセット。

そしてここからが一番つらいところだが、実はここのルールとして、出したものを持ち帰る義務があったのだ!
だから、大きいジップロックをおしりにはめて、狙いを定めて爆弾を投下。いま想像しただけで、ありえない図・・・
失敗は一度もしなかったので、毎回一応安堵。
その後爆弾処理に入るのだけれど、綺麗になる頃には手が完全に凍ってかたまり、手を上げて痛さを堪えて、歯を食いしばるほど両手が冷えきっている。そして紙をしまってジップロックをジップして、さらに黒いビニールに入れて、テントに戻って近くの岩陰に仮置きをしてプロセス終了。

これが一日一回なら頑張れるものの・・・・一日数回は本当に辛かった。
そして言い訳的には、たぶん体力が吸い取られたんだろうなあ〜。

なんとなく、核心ではないけれどとても印象深い一番つらい思い出話でした。

One Reply to “標高5,500mでの下痢にまつわるオハナシ”

  1. 旅バム: takujiさま
    アコンカグア遠征?お疲れ様でした、無事?ご帰還され何よりです。登頂のチャンスは何れまた巡って来ると思います、そのときは又愉しい記事お願いします。

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