ついに信越五岳110kmがやってきた

110kmのトレイルランニングレース、2回目の信越五岳がやって来た。
前回の大会とは準備が違い、できることはすべてやった気がする。先月200km走り、今月も100km、妙高の練習、40kmのロードラン、富士山クライム2回、カーボローディング、などなど、ランニング嫌いのオレとしては本当に異例だ。
第一回目大会は100kmを21時間30分とぎりぎりの完走、今回は10km増えて同じ制限時間の22時間。
大会前はまるで筆記の試験を受けるような気持ちだった。

全員で完走します!

そして我らは大所帯!
選手7名、サポーター3名、ペーサー1名。やるぞ〜。

#スタート – 1A
朝五時半。明け方の雨は止み、ヒンヤリとした清々しい空気。カウントダウンが始まるといやがおうにも気持ちが高ぶる。笛が鳴り、自分と向き合う長い旅が始まった。

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沿道の声援でテンションが上がる。脈も上がる。そして押さえようと思っていたのにスピードも上がってしまう。自分なりにはゆっくり進んでいたつもりだけど、登りがあるのに、10キロ地点でちょうど1時間、すなわち10km/hで進んでいたのがわかったときは、ちょっと速すぎだな〜とさすがに思った。

途中、地蜂(クロスズメバチ)の大群にみんなが襲われ、おれも腕が刺され手が腫れながら何の処置もしないで進んでしまった。せめて指で毒を吸い出すべきだった。あとで目が充血してたらしく、少なからず何かに影響はした気がする。
チームメイトのNoroが順調で、ややあおられながら一緒に1Aへ。
1Aへは7:20着(区間1:50)、予定より15分早い、まちがいなく飛ばし過ぎ・・・

#1A-2A
斑尾山への登り。
きほんゆっくり登ったつもりではあるが、みんなの早いペースにここでも若干引っ張られてしまったと思う。心拍はつねに155、ときに160になった。順調に山頂に上がり、下りも調子よく飛ばす。比較的押さえたつもりだったが、2Aには8:15(区間55分)着。予定より合計で20分の貯金、これもちょいと飛ばし過ぎ・・・
ポテト食べて、バナナ食べてすぐに3Aへと向かう。

Shinetsu

#2A – 3A
袴岳まではとてもとても美しい広葉樹の森。登りがあるのでゆっくり休めるという感覚があるし、なんせ練習のときと違って前後に人がいるので話をできたりして楽しく進める。練習のときとほぼ同じく山頂まで約1時間。そこからは飛ばし気味にシングルトラックを下って、林道へ。一昨年は退屈で仕方なかった林道も、今回は難なく走りきる。心拍は147くらい、何人か抜かしていただいたからちょっと早いかな、これまた。。。
3A到着は10:05(区間1:50)、貯金が増えて30分。順調過ぎ、というか飛ばし過ぎ?

#3A – 4A
お守りのコーラをバックに入れて、いざ苦手区間関川。

Shinetsu

一昨年は苦しくて歩いたけど、今回は練習済み!
と思って、余裕と挑んだのだがやはり疲れているのか、思ったように走れない。歩いている選手も結構いた。そうだよな、みんな辛いよな、と思いがんばって走る。遅くても歩かないようにだけ心がけた。すごい遅いと思っていたのに、橋のところで出発から47分、練習と2分しか違わない。良かった。そして登りが始まり、パワーバーをかじりながらゆっくりと歩く。
登りきるとなんだかエネルギーが切れてしまっているのがわかった。これも前回と一緒。バックからコーラを出して、ゆっくりと休んで飲むと気分的に回復!ビバコーラ!
ゆっくりとシングルトラックを進む。途中何人かに抜かれたが、すでに前半の走りが効いているのか早く走れない。そして足が一度吊る。うーむ、先は長いな〜。
4A着は12:01(区間1:56)、想定内。まだ貯金ありだが、次で貯金を使う気はした。

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#4A – 5A
笹寿司をたくさん食べて、束村さんにエイドにいすぎだよ〜と言われつつ、iPodを装着して次の苦手区間へと出発。コスモス畑の舗装路を抜けて、林道へ。ここからの登りが5km。想定では走る予定だったのだけど、無理だ。走っては止まり走っては止まる、その繰り返し。なんとか腕を大きく振り早歩きを心がける。音楽に集中し、意識はどこか彼方へやろうと必死。
55分で登りが終わり、林道をしばらく走るとシングルトラックの下り、嬉しい!やっぱ楽しいよ、下り好き!

くだってくだって吊り橋へ、そこからは急激な登りだけどゆっくりと歩く。登りが終わっても森の中を登り基調な道。もう登りではすぐにへばってしまう自分がいる。平地はなんとかだけど、少しの登りももう走れない、困った。
笹が峰に着き、ウッドチップ。がんばって走る。そしてついにペーサーの待つ5Aヘは14:31(区間2:30)で到着。ここまでは上出来過ぎ。

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#5A – 6A
心拍数が極度に上がらなくなる。走っても120は超えない、設定値の下限を下回りぴーぴーずっとなっている。区間AVGは124だった。
最初に高度を上げて、平地のシングルトラック、美しい森。5Aでおにぎりを2つも食べて腹が膨れて走れない。しばらくはのんびりと進み、後半ようやく走り出す。林道に出ると登り基調になったので、ここは歩く。林道終点から標高差180mやや長めの登り、ここもゆっくりと進む。この辺りから、肺がひゅーひゅー鳴り始めた、何だろう。林道を上がると、テクニカルな下りとなるのだが、下りは楽しいので走れる、しかも前回は夜だったので、明るいうちに下れていること自体が嬉しい。
下りきった場所の、夕方の湖は息をのむほど美しかった。ここからは平らなのだが、走れない、そして抜かれ放題。前半のペース配分のミスが、ついにのっかってきた・・・。6Aへは17:17着(区間2:46)、予定より25分遅くなる。貯金は10分残して、ほぼ使ってしまった。

#6A – 7A
単調なアスファルトの登り。そこから木道に入る。前回は木道も、神社も走れていたのに、もう息が続かない。アドベンチャーレースで知り合いになったおじさんコンビ、久保田さんと束村さんに追いつかれる。つーかほぼ50オーバーなのにすごいなー。久保田さんの助言により、バックをペーサー195に持ってもらうことにした。おー、これならちょっとは走れる。
戸隠奥社の参道でようやくライトを出す。参道は歩き、終わりから7Aまでは走る。7Aに着いたのは18:15(区間58分)。残る貯金は5分のみ。
しまったことにジェルがほとんど飲めていない、エイドでもコンソメやリンゴ、ぶどうなどしか食べられない。これが後々の打撃となったと思う。

#7A – 8A
しばらくはアップダウン。のんびりと歩く。最後の下りだけがんばって下り、意外とあっさりと舗装路に出る。距離的にそりゃそうか。アスファルトを下り、やや登りのシングルトラックに入るが、もうほとんど走れなかった。
8A到着は19:26(区間1:11)。実は当初の予定より15分しか遅れていなかったのだが、安心しきったのか、一瞬マッサージをうけようと思ってしまった。今思えば、ここで張りつめていた気を解放してしまったのが、落第のきっかけだったのではないかと思う。マッサージが始まると、体が急に震え始め、震えは止まらなくなり、医師の診断により低体温症と低血糖と診断を受け、救護テントへ収納。点滴を飲まされ、ペットボトルと毛布で暖められ1時間弱ロスト・・・後の祭りだが、強引にでもジェルを飲んでおけば違ったのかもしれないと思う。
リタイアしてしまおうか、こんなに時間ロストしてしまったら、もう目標のタイムどころじゃないし・・・とふと走るのをやめようとも思ったのだが、時間が有り余っているから、どんなにゆっくりでもゴールには着くだろうということで、着込んで出発することに。

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#8A – Goal
20:17出発。
しばらく平地を歩いてから、瑪瑙山へと急激な登り。もうすべてがおじいさんのような動きで、数歩上がっては止まって肺を整える始末。半分ほど上がったとこだろうか、辛さはマックスとなり、なんでこんなことやっているんだろうというネガティブ気分スパイラル。「二度と出ねえ、トレイルランなんてしない、始めたばっかだけどもう終わりだ!」と念仏のように思いながら進む。自分で望んでエントリーしてるのに、なぜか逆切れ気味(笑)「今ここでリタイヤさせてくれるなら、する!」とすら思った。でも途中まで登ってるから、降りるのも大変だし、登るか・・・とそんな感じ。

ペーサーの存在には感謝してもしきれないくらい救われていたと思う。なんにせよ、一人じゃないというのがスバラシイ。「195ホントにありがとねー、情けなくてごめんよ〜」と何度も呪文のように繰り返した。
山頂は着いた、と思っても着かない、まだかまだかの山頂だった。
山頂からはスキー場を下る、がんばって走ってみるも、その後の最後の登りが永遠のように辛かった。最後の登りを登ると、林道までは快適な下りなのだが、そこももはや走れない。下りでも途中止まる始末・・・肺が故障し息が吸えない、吸ってもむせる、なんだこれ。

下りきって、小エイドでコンソメをもらって、林道を再び歩き始めた。最後の林道は7km、走ったら一時間もかからないし、予想ではここはラストスパートをする予定だったのに、どうにもこうにも走れない自分がいた。歩くのすら辛い、歩きを計算すると1時間45分、そんなにもう歩けねーよ・・・と思いながら歩いた。時間がまったく経過しない、恐ろしい道だった。なん人か歩けない人も見かけ、みんな辛いんだよなとつくづく思った。

それでもようやく終わりはやって来て、ヘタレと思い知らされながらもゴール。

shinetsu

24:48(区間5:22、エイドでのロストが痛い!)のトータル19:18。この区間だけで予定より2:22オーバー。すべての反省点はこの区間だった・・・
ただ前回より10km増えて、前回より2時間10分早くゴールできている。過去の自分には勝てた現在がいる。それは嬉しいことでもあるけど、自分の目標タイムより2:38の遅れという現実。テストでは間違いなく落第なので、残念な結果としか思えなかった。

それでも応援してくれたサポーターやペーサーには本当に大感謝だし、いま振り返ると楽しかったなと思ってしまうのが不思議なところだ。信越五岳恐るべし・・・
こうして、今年の唯一の?そして二年ぶりのレースが終了した。

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あれから今日で6日が経過。
肺があまりにもおかしくて、息が吸えないので呼吸器科に行くと、肺年齢が67歳と診断された。喘息の症状が出ているらしい。昨日まで咳が出て一日中苦しい時間を過ごしていたが、6日目の今日にしてようやく回復に向かっている気がする。
レースの翌日は呆然として、満足感はまったくなく、残念というか悔しいというか、「ちくしょー!& 残念はあ〜」の繰り返しだった。二度と走らない予定だったのだが、なんだかこのままでは終われない気だけはしている。本当に不思議です。
でも密度の濃い充実した19時間と18分、よい旅だったし、きっとまたする旅だと思う。

以下動画。
カメラを持って、動画を撮る余裕ぐらいはもちたいなと思い。。。最後には余裕が無くてめっきり撮れなくなりましたとさ、チャンチャン。

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