『職業としての小説家』を読む

新井さん渾身の? 『職業としての小説家』を読む。これまでの村上春樹と違ってかなりリアルな舞台裏な感じ。彼もいつのまにかもう66歳。ここいらで、と小説家のノウハウも含め自伝的に振り返っている。66歳といえど自身を発展途上にある作家と呼び、伸びしろがまだ無限に残されていて、さらなる進化をしようとしている意欲的なところもすごいのだけれど。

ほとんどの村上作品を読んでいるんだけど、実は奥さんが全部最初に読む、という裏話に一番びっくりして意外だったかも。恵まれた読者の話を読んでから、たまたま何度かタイムラインに出てきたFBの公式ページヘの海外のファンのコメントとかも興味深く読んだ。
httpss://www.facebook.com/harukimurakamiauthor

村上作品の読者に共通しているのは、同じ小説を何度も読み返してくれること。優良な読者で、読者と作家とのいい信頼関係がそこにあるのだという。思い返せば自分も彼の作品を何度も読み返していた。赤と緑の『ノルウェイの森』が一世を風靡して、なんて官能的なんだとびっくりしながら読んだ中学時代。それを大学生になってから読んだらまったく違う世界の話で、もっと大人になったらもっと違う話だった。タイの安宿で見つけて読んだ『世界の終わり・・・』一番好きな本かもなと思い、最近また読み返した。一番読み返したのは『風の歌を聞け』、大学生の頃、友人のリョウが館山の合宿所で寝転びながら読んでいたのが印象的で、その後自分でも何度も読んだ。今回の本を読み終わってから読んだ『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』もすごく良かった。おそらくは自分も村上作品に共通する優良な読者とカウントされてもいい一人であった。とにかく自分の人生でこんなにも長く、いい物語を提供してくれている村上春樹にありがとうと言いたいなあと思った。

この本でぐっときたのは
「でも気がつくと僕はそろそろ三十歳に近づいていました。僕にとっての青年時代ともいうべき時期はもう終わろうとしています。それでいくらか不思議な気がしたことを覚えています。「そうか、人生ってこんな風にするすると過ぎていくのだな」

ああ、やばい。39歳でやっとそう思えてきた今日このごろ・・・ああ、どうしよう

「何がどうしても必要で、何がそれほど必要でないか、あるいはまったく不要であるかを、どのようにして見極めていけばよいのか?これも自分自身の経験から言いますと、すごく単純な話ですが、「それをしている時、あなたは楽しい気持ちになれますか?」というのが一つの基準になるだろうと思います。」

やっぱり直感を信じて、自分に好きなもの、楽しい選択肢を選んで生きていこうと思った。というとりとめのない文章となったけど(笑)、新井さんありがとう!

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