Road to Roraima #10 このオトコ

FBにシリーズこのオトコというのを展開したら、ほうぼうからリアクションがあったので、ここにも忘れないように貼っておく。
(ややフィクションです)

その一
この男と今週はスキーに行って立ち飲み酒場で飲んだ。
もうすぐ4月になってしまうが、ベネズエラのLost Worldの写真を見返しメモをたまにまとめている。今日はロライマを初めて歩いた日を振り返った。この男はやはり面白いムーブをしていたな、と。

日本から全行程の衣類や道具を持っての旅。当然ロライマ山のトレッキングに限っては、いらないものが出てくる。それはガイドブックだったり、文庫本だったり、着替えだったり、暇つぶしの道具だったり、サブザックだったり。
どうせガイド会社を使うんだし、そこに戻ってくるんだし、そこで受け取れるからいろいろと預けてしまおうと、山では必要でないものを前日にまとめてサブザックに詰めた。しかしこの男は面倒くさいので全部持ってちゃいます、と言う。普段から効率性ばかり求めているのにそれは違くねーか?と思いながら、自分のことじゃないし放置することにした。

歩き始めて小一時間。「バックパックが超重いっす」「久しぶりだからかな」「重くて大変」とクレーム満載・・・・・え、だってあなたは俺より5kgくらい余計な荷物ばかり持っているじゃん・・・・なぜに置いてこない!

Go Proのバッテリーが無くなりそうになって、しまったミニUSBケーブルをサブザックに入れて預けてしまった!と言うと「たぶんありますよ!」と得意げ。さすが余計にいろいろ持っているだけある、と感心したら「マイクロUSBなら二本あるんですけど、ミニはありませんでした」と使えない答え。しかもなぜかマイクロを二本、余計・・・
歩く度に「なんでこんなに重いのかなー」と独り言ばかり。いや、だからそれは・・・。
ガイドブックも軽量化しようねと出発前に打ち合わせして、俺が「地球の歩き方」、この男は「フットプリント(イギリス・英語版)」と決めていたのに、なぜか二冊持参。「いやー、なんとなく」とか言う。もちろんギアナ高地の役立つ情報なんてほぼないので、自分は下界に置いてきているのだが、もれなく二冊ともバックパックに入れて山に持ってきている。

途中の川でブヨに刺された。気が付くとすでに数十箇所刺されていて痒くてしかたない。この男はブヨにアレルギーがあるのか、ひどく弱っていた。自分はたまらなくなって途中で虫除けスプレーをしたが、この男スプレーをしない。ほぼなんでも持っているので、もちろん虫除けも持参している。「肌が弱くてすぐかぶれちゃうんです、困った」と言うので、なぜ塗らないのかと聞くと「いや、面倒くさくって・・・・」「しかもザックの下の方に入れちゃったんですよね・・・」と言うではないか。ま、U字ジッパーですぐに開けられて取り出せるバルトロなので、取ればいいとも思うんだけどネ。

とにかく「効率性」というのがこの男の格言だと思っているのだが、どのへんがそうなんだろう、と一連の行動を見ていると不思議で仕方なく、かつやっぱり面白いのだった。

写真:ドボンしそうだなーとカメラを構えていたら見事期待に応えてくれたこの男。靴の中敷きの下に隠していた100ドル紙幣は見事に濡れ、乾かしている間に紛失した模様・・・w

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その二
数カ月前から計画し、何年も前から夢見ていた憧れの場所への遠征なんだから、道具はできるだけ最新のものを持って行き、いくつか新調したいところ。

しかし真逆の考えを持つこのオトコ。一番古い道具を持ってきている。穴のあきまくった靴下とヨレヨレのTシャツ。壊れかけたアウトドア時計。「貧相に見えるから強盗にあいにくいし、行く先々で捨てれる」からだという。たしかにトレッキング後にこちらが臭くなったウェアを洗ったりビニールに入れたりしているのを横目にポイッと捨てまくりどんどん身軽になっていく。羨ましくもあり、合理的にも感じる。

ただし「絵的」にはかなりいけてない。せっかくこんなに景色がいいのに。「絵的」に遠征感も出にくい。キマってなさすぎる。おまけに靴下が古すぎるのか川の渡渉後マメもできていた様子(笑)

ロライマ初日。ここで ‪#‎心折れ部‬ Tシャツはねーだろ。と激しく思ったことを写真を見て思い出した朝。

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その三
最近よく一緒にフィールドに行き、今回ベネズエラまで共に行くことになった8歳も年下のこのオトコ、かなりユニークである。一部を共有してみよう。

01
「ベネズエラだと年間1万5千人も殺されるんですよ!やばすぎます」といろんな危険情報をコピーしてきた紙を飛行機内で見せてくれ、こちらの不安を超煽る。「Google の画像検索がマジでヤバいっす!」え、飛行機で言われてもすでに引き返せないんすけど…予想外に心配性。「すなわち毎日40人です」計算も早い。そこまであぶねーと思ったら行くのをやめるっていう提案もできたのでは?「喉元まで出かかったんですが」曖昧な性格か?w

02
「危ないから8ヶ所に現金分散させました!」一見いい加減なのに実は細かい。
しかし靴に隠した2つは川の渡渉で濡れてしまい…最終日にホテルで「どうしても2つくらいどこに隠したかわからなくって出てきません」と2-300ドル紛失が発覚。ネタか?これネタなのか?

03
「トランジットが間に合わない〜。」2時間もあるから余裕だろうよ、と言っているのに焦って違う飛行機へと消えていった。(帰りの便は別だった)やはり心配性。そしてあんなに急いで完璧だったのにその後の飛行機がキャンセルとなり、彼だけロンドンを経由することとなる。俺より15時間遅れ日本に無事着くも、ロストバゲッジのオチ付き。間違いなく何かを「持っている」
2年前のアコンカグアでヘリを飛ばしちゃったのも同一人物である。
そんなわけでかなり一緒にいたのに、さようならと言えていない。

写真。
最高紙幣の100ボリバルの束でしばいて欲しいとお願いされた。日本だと500万円の束(現地では9000円の価値しかないが)。最初は静止画を撮っていたのだが、リアル感が出ませんね、と何度もやり直しを命じられ、本気で叩かされた。リアル感、出ましたかね?
こうして思い返してみたが公に書けないことばかりでイマイチ共有できなかった。これ以上は飲みの席で・・・
大変楽しい珍道中の旅でございました。

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——-
海外オトコふたり旅、なんていうのはおそらく初めての経験で。
きっと道中で飽きるんじゃないか、険悪になったりもするのだろうか、そんなことを思っていたのだけれど。センパイとして彼は気を使ってくれていたのかもしれないが、二週間一緒にいて退屈することもなく、適度で快適な距離感だった。テントはもちろん別だったけれど、あえての相部屋もまったく気にならなく非常に楽ちんだった。お互い自由と個人を適当に尊重する間柄だったからかもしれないし、彼がただたんに類まれなユニークなキャラだからなのかもしれない。

テラのブログにもこの旅の顛末が詳しく記載
teratown.com

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