信越五岳 2012 ふりかえり

3回目の出場となる信越五岳トレイルランニングレースに出場して来た。これは信州と新潟の5つの山々を巡りながら110kmの距離を走る大会で今年で開催4回目。なぜか2回目以外は出場することになって、今回で3回目。

今年の自分の目標は明確で、去年自分がたてた計画、目標のタイムより一秒でも早く完走すること。なぜなら、去年は終盤で低体温症になり、肺もやられ、大幅にペースダウンしたからだ。自分の中でトレランのレースはいつもそうなのだけれど、誰かと競うというよりは自分との戦いになる。今回は特にそうで、去年の自分との戦いのようなもの。

あとは欲張りの誰にも言わない目標というのをいつも設定していて、今回のそれは、100位以内であり、16時間切りだった。ペーサーにだけは伝えたけれど、自分でも意識しすぎると良くないので、あくまで調子が良すぎたら、と思う程度。

練習についての記事をエントリーしたけど、月間200kmを意識して走れた昨年とは違い、今年はそこまで走りこんでもないし、カーボローディングもほどほどだし、レース前も至って普通の日々を過ごすことにした。アルコールもカフェイン断ちもしなかったし、前日にもビールもワインも飲んだ。なんか、気負わない心構えで普通に出てみたかったのだ。

レース当日。前日は約4時間半の睡眠で、3:15に起きる。起きてすぐおにぎり2つと、アンパン、オレンジジュースを飲んだ。最近捻挫癖があるので、ニューハレはXテープだけ足首に貼った。4:15に宿を出てスタート地点へ向かう。例年とは比べ物にならない暖かさ。まずはトイレに並び、出すもの出してスッキリ。スープだけもらって、友人とくっちゃべっているとあっという間にスタート15分前。

Start 5:30
序盤はウェストに水を300mlだけ、半袖短パンの軽装。
5:30。いつもどおりのスタートを迎える。テンションが上がりまくるところだが、今回の課題は2Aまでは抑えてゆっくり。
心拍数がわかる時計とバンドを付けていて、序盤の心拍数は140ジャストでいこうと思っていたのだけれど、なかなかそうはいかず、140代後半まで行ってしまうことも多かった。でも下りや平地の時は極力抑えて、周囲を見回しリラックス作戦。うでをぷらーんと下げて、前を見ずに横や空を見る。息を大きく吸って、こんにちはブナさ~んとか植物に語る(変態かっ)。すると心拍はすとーーーんと下がってくるので、これを繰り返してリラックスして進んだ。
アドレナリンが出ていない分、淡々とした退屈な走りで、先の長さに不安になる。でもこのまま、ずっと行けばいいんだよなとも冷静に思う。

1A→
そんなこんなで、抑えまくって走ったつもりが、1Aに着いたのは1:47。飛ばしてしまった去年より3分速い。あれ〜・・・・
水を補充し、バナナだけもらって登り始める。エイドにいたのは1分くらい。ここでも飛ばさない作戦。心拍アラームの上限は160にセットしておいたけど、全行程を通じてこれを上回ることはなかった。周りは気にせず、一定のスピードで淡々と登る。登りは楽勝だし、走らなくていいし、自分の登山時のペースよりも遅いから、基本的にはすごい楽。いきなり頑張って登っていく選手とかを多数見たけど、抜かれても気にしない。
30分ほどでピークに着く。空は晴れ渡り、遠くまで見渡せる大絶景!
下りは足に出来るだけ負荷をかけないように、焦らず急がず。でも前にいた人は全て抜く。オーバーペースかもなあと思いつつ、2Aへ。
(1A-3Aのエナジーはジェル3本・2Aエイドでメダリスト)

2A→
調子がいいので、4Aまでウェストで行く事にした。軽いってすごいな。
ボトルに水は満タンに、メダリストを500ml飲みきって、すぐ出発。エイドにいたのはきっと3分くらいかな。早く出発できた分、森に入ったらのんびりと進む。ちょっとだけ足に違和感があり、不安になったので、ペースを落としてゆっくり。序盤は登り基調なので、登りがきたら、淡々とマイペース作戦。平地は頑張って走る。その繰り返し。いつもながら美しい森。ペースが遅くてハアハア言わない分その美しさは去年よりも堪能できたかも。
途中2カ所くらいスズメバチポイントがあって、去年刺された身としては本当ヒヤヒヤ。あれはトラウマだね。
袴岳のピークには1時間くらいで到着し、ここからは下り。
シングルトラックは軽快に楽しんで、林道に出てからは心拍数は140固定と決めて完全固定ペース。長くて退屈だけど、まあまあ気分は良い。調子が良いかと聞かれれば、けっこう疲れてしまってどっちかはわからないんだけど、まあ、普通という感じ。もうすぐ40キロだし、疲れて当然だ、と。

3A→
アスファルトの道はすでにもわっと暑かった。エイドでコーラを飲んで水をかけて出発。エイドには5分くらいいたかも。関川沿いは暑いし走れないっていう印象だったんだけれど、時間が早かったのか、そこまで暑くもなく、全行程走ることができた。途中後ろから来た人と話しながらオーバーペース気味で走ったので、45分もかからず橋の袂に着く。私設エイドが素晴らしく、ここでもらった冷たい麦茶で生き返った。最高でした、ありがとう。
ここからの登りで例年と同じくちょっとバテる。こんなに長かったかなぁ、と、思う。登り切ったところで一息。後は森の中を30分程度なので、水は飲み切ることにして、ボランティアのおじさんと話しながら一息つく。
走り出しは調子が悪く、うまくスピードに乗れなかったのだけれど、抜かされた女の子にちょっとついていったら、復調して後半は気持よく走れた。後ろ姿はとても可愛い子だった。誰だろう。(やっぱり、変態?)
暑さも感じたし、筋肉の疲れというか火照りがわかったので、途中の沢で腰まで使って、体を冷やした。
ここからも本当に素晴らしい道。去年は足がつって、たくさん抜かれたのだけど、今年は終始一人きり。しかし、油断してたら足がつった。そこに救いの主、アミノバイタルが落ちていて、飲んだら治った(笑)
去年と全く同じ現象で、ここまでのペースも去年とほとんど変わらないので、なんだか不思議な感じだった。やっぱり、全ては後半に託されるわけだ。
(2A-4A まではジェル6本とZen、ウイダーインx2)

4A→
エイドには5分以上いたと思う。ちょっと長居し過ぎたかも。
サポーターにウイダーインとコーラをもらい、Zenを飲む。アミノ酸系を忘れて、突如アートスポーツのブースで購入したこのZen、効いているのかは正直不明。なぜか笹寿司は体が受け付けず、持参した大きなZIPロックにバナナとかを入れて歩き始める。コスモス畑のアスファルトの登りは終始歩いてモグモグ。
ここからの砂利道退屈登り林道が最も苦手な区間だし、去年ここで走りすぎてしまったのが後半のペースダウンの元かもと思い、今年はゆっくり。iPodをセットして、曲を聞きながら、曲に神経を集中させながら進む。音楽のチカラは偉大だ。
歩いていたら心拍が相当落ちてきて、なんか心がノリノリになってきたので、心拍数を上げ過ぎ過ぎないように、なだらかになったら走る。心拍が上がり過ぎたら歩く。下がり過ぎたら走るを繰り返す。
そうこうするうちに1時間くらいで登りは終わる。結果的には人は抜けど、誰にも抜かれなかったから悪くないペースだったのだろう。
道はシングルトラックになり、急な下りとなる。下りは大好きなのでテンションが上がる。ただ、自分が思っている以上に暑いみたいで、下りきったところの沢で水をがぶ飲みすることにした。体が欲してた。
ここからの急激な登りと、その後の緩やかな登りが今回一番辛かったかも。アイスくいてー、と思った。バテ気味。

上がりきったところのトイレで、水道から全身に水を浴びた。そしてかなり復活して、ここから乙見湖エイドまでは気持ちよく快走。
ついにペーサーの待つ66km地点へ到達。思わずテンションMAXで、叫びたくなる。ひゃっほい!
(ちなみに今回のペーサーはリアル弟)

多くの人が暑さにやられ、リタイヤもしているとのことだった。個人的には暑いといっても9月だし高原だからたかがしれてると思う。暑さにやられる人ほどランナーで、あまりアウトドアをやられないのかも。アウトドアをやっていて、フィールドに行ってれば、暑さへのマネージメントできそうなもんだけど、距離が距離だからなのかもしれない。
(3A-4A まではジェル3本とエイドのバナナとウイダーイン)

5A→
ここからはペーサーに荷物を持ってもらい、身軽作戦。利用できるものはなんでも利用して、楽しく走った方がいい。暗い夜道は怖いしね。エイドにあまり滞在しなかった分、登りでおにぎりを食べる。平らになったり、下りになったらおにぎりを持ったまま走った。それにしても、お願いしていたおにぎりがサラダ手巻きとは冗談キツいぜブラザー。オエーだよ。
去年はもう走れなかったこの区間は、なんてことない快適ランニング道だった。気持ちよい森の中。スピードは出ないけど、楽しい道。
さっきまで暑くて仕方なかったのに、歩きすぎたのか体が急激に冷えて来て、急な腹痛に襲われた。そしてトイレットペーパーは乙見湖に置いて来てしまったのであった・・・・
でもこの、腹痛はヤバいのではと道を外れて、森の中で裸になり、キジ打ち。水場を見つけてインド式洗浄を施した。旅人でよかった〜。

復活してからは林道ラン。
ようやく筋肉もほぐれて来て、登りきった後の下りと平地は快調に走れた。息をのむように美しい古池を通過し、6Aへ。
(5A-6A おにぎり二つ。ジェルは5A – 8A間で5つ)

6A→
調子が上がって来たので、6Aはほぼスキップ。ただ、舗装路を外れるところで再び腹痛、トイレに駆け込む。ふ〜・・・
戸隠神社の参道は長いなぁ、歩きたいなぁと思いながら走る。観光客がたくさんいて、応援はありがたかった。冷えて来たので7Aに着いてから長袖を着る。

7A→
最初の登りは歩いて、下りと平地は走った。今回は止まることはないし、まだまだ大丈夫。
舗装路に出て、残り2kmのトレイルでようやくライトをつけた。ここからもがんばって走る。そして前回低体温症で約1時間滞在することになった雪辱の8Aヘ。

8A
おそばを三杯。ベスパとウイダーをとり、ファイントラックに着替え出走。
エイドには10分ほどいたのだけれど、筋肉が完全に固まってしまって、出だしはロボットのようだった。ただ、登っている最中に調子が完全に上がって来て、ペーサーの弟を上回るペースに。初めてベスパを飲んだのだけれど、その効果なのかは不明。瑪瑙山のピークまではちょうど1時間くらい。あたりは完全な霧状態。「辛くなったら空を見上げて星を見ろって言われたのに、星が見えなーい」とは弟談。

ゲレンデを下り、微妙に長い登りを経てついに100km地点。ここからすぐに林道へと下る。ここはジワジワと苦しく地味に長い。瑪瑙山が中ボスでこっちがラスボスな気がする。
あっという間に下りきって最後の林道。16時間を切れないのはわかっていたけれど、21時台にはなんとかつけそうじゃないか、と思い、iPhoneのrunkeeperでペースを計測しながら進む。ペースは7.5/kmくらいだった。泣いても笑っても残りたったの45分、30分、20分だとぞー!とカウントダウンしながら、歩きたい気分を押さえて自分をプッシュして進む。残り2kmは猛ダッシュ!

ゴールでは嫁さん眠そうな息子が待っていてくれた。みんなで手をつないでゴール!
いつも羨ましかった、ゴールで待っていてくれる誰かと一緒のゴールイン。体はボロボロだけど、結果も経過も、自分についても全ては大満足だった。

時間は16:05.55と昨年より3時間以上記録を更新。8Aからは思ったより速く、あと5分で16時間切りだったとは、びっくり。下痢2回が痛いけど(笑)、こんな自分としては上出来もいいところ。順位も男子59位と予想よりだいぶ上位となった。

この後お風呂に入って、2時まで仲間のゴールを待って、我々の信越五岳は終わった。

第一に家族とペーサー(ペーサーも家族だけど)に感謝。そして仲間とサポーターにも感謝。応援してくれた人や、会場出会った友人、そして運営に携わるすべての人にありがとうと言いたい。そして、このような素敵な場を創りだした弘樹にも大感謝。

ーーーーーー

まとめとその後

あまりにも出し切った感があったので、もうしばらくランのことは考えたくないし、どこも行きたくないし、と思っていたのは2日くらい。。。体が回復するにつれて、考えるのはどこでどうやったら更に改善していくのだろうか、ということ。人間って素敵だ、辛いことはすぐ忘れ、楽しい思い出だけが残る。
例えばそれは、来年出るつもりはないけど、仮に出たら、ということ。出ないけれど、仮に出たら目指すのは15時間切りだと思うし、できるんじゃないかなーと思う自分もいる。各パートで5分平均して縮める。3Aはスキップする。4A、5A、8Aでのエイドでの滞在をもう少し減らす。今回は後半が不安過ぎて、8Aまで、いや瑪瑙山まで抑えに抑えたけど、もうちょっと中盤からは抑えなくていい、とかとか。簡単なことではないだろうけど、出るなら目指すはそこな気はする(出ないけどw)
ま、噂ではこのコースは終わりかもしれないけれど。

終わった後の筋肉痛やら、痛みやらはすごかった。足の平に水ぶくれが2つ。小指に一つ。左親指死亡。2日間満足に立てず、屈めず。5日間うまく歩けず、足のむくみ取れず。ただ、5日後の朝に、スコーーーンと何かが抜けたように足のむくみが引いたのだった。人体の回復の軌跡を見ていくのは面白いね。そして精神的変化の側面も、客観視できれば楽しい。
苦しいことなく、終始楽しい時間だった。

最後にタイム

さてさて・・・

20120925-140531.jpg

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA