ヒト、孤独を失う

アメリカにいるのに、まるで日本で仕事しているよう。
たいていは日本時間に合わせて、日本の夕方まで仕事をした。
友だちからのメールも入ってくる。twitterからはつぶやきが。skypeでもgmailでもチャットや通話ができてしまう。

こうして、ぼくら先進国と呼ばれる国の住民たちは、孤独になるということを捨てたのだった。
携帯電話とインターネット、テレビ、ラジオ、書籍にマンガ。
文明とは大人が孤独から逃れるためにできたのかもしれない。
大人になると怖くなるからだ。
たくさんの物を手に入れてしまったから、それを失わないように、ビクビクしている。
本当は、何も持っていなかったのに。持っていなかったときのことなんて、すっかり忘れてしまって。
孤独はたくさんの事を再認識させて発見させるから、孤独にならないよう、孤独にさせないよう、誰かが世の中を操作している。

旅に出たら、基本的に孤独だった。
まだメールもないころ、旅に出るということは孤独や自分と向き合うということだった。

しかし、今は旅にも孤独がなくなってしまった。
どこにいても、メールが来て、インターネットで好きな情報がいくらでも手に入る。それはそれで、安心するし、寂しがりの僕としては、いいのかもしれない。

でも、何か、極めて大事なものを失っていってる気がしてならない。

ヨセミテで、久しぶりに孤独を味わった。
想像していたより、たいしたことがなかった。そうそう、こんなの昔はしょっちゅうだったじゃないか。
人には人が必要だけど、時折一人ぼっちになることも必要なのだ。

絶対的な孤独を感じること。荒野のような孤独を感じること。それはとてもとても大切なことの気がするのです。

さようなら、ヨセミテ！
一生のうち、きっともう一度は来るからね！