キューバへ

行きたい場所リストというのがゆるやかに更新されながら自分の中に存在している。
それはベネズエラのギアナ高地だったり、ブラジルのアマゾン源流、マダガスカルのバオバブ街道、ハワイ島の火山、イエメンの旧市街や、そしてリビアの古代遺跡だったり。キューバはいつもトップリストに入っていた。突然時間ができたので、即座にハバナまでの航空券を予約した。今しか見れないモノやコトがあるとしたらそれはリストのうちどこだろうか。イエメンもリビアも国そのものが変わってしまった。カストロがいるキューバといないキューバもきっと違うし、もうすぐ変わってしまうだろう。そう考えるとリストの中から選ぶのはキューバが良いと思った。

何度か乗り換えが必要で遠いと思っていたキューバは、実はトロントからの乗り継ぎだけで行くことができ、夕方日本を出るとその日の夜にはハバナについてしまうのであった。

17:50成田発のトロント行きに乗り、同日の21:30にハバナに到着。トロントまでの飛行機は混んでいたけれど、トロント-ハバナ間は比較的空いていて、小型の4列シートなのに空席が目立った。空港は思ったより綺麗で、褐色の人々がお出迎え。夜とあって空気もひんやりとしていた。なんてことはなくイミグレーションを通過すると、薄暗くも出迎えの人々がいる到着ゲート。さすがに悪い奴はあまりいなそう。

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5万円くらい両替し、infoturというインフォメーションに行き、日本では買えなかった明日のバスチケットを購入。この案内所はおそらく国営なので悪い人はいないはずだが、ここで紹介されたタクシー運転手はちょっとイカサマなおじさんだった。タクシーまでは距離をとってついてきてくれと言われ、タクシーに乗ったら少し伏せててくれ!と意味不明。きっとあそこのカウンターの人の知り合いらしく、割り込みだったんだろうな。どこの国も変わらないな、とちょっと笑ってしまう。
しばらく走って街中に入る。かなり遅いのにみんな起きてて、通りで話してたり、玄関先で上半身裸になりながらチャットしている。外にカウンターがむき出しになっているバーのようなものにも人がたくさん群がっており、さすがラテンである。スペインの血を確実に引き継いでいる。

日本から予約していた宿に着いたのは23:00、どうやら民宿だったらしく地元風のおばちゃんが迎えてくれた。何か食べるものあるかな、と聞くとすぐそこでピザが買えるよ、とのこと。外人専用の通貨で支払うと少しのコインが地元の通貨で返ってくる。分厚いシンプルなパンピザだったけど空腹には美味しかった。時差ぼけでなかなか寝付けなかったけれど、本を読んでいるといつしか寝ていた。

朝7:00に起きる。ちょっとだけ通りに出ると海が見えて、もう足が止まらない。どこをどう見てもハバナ!きた!高揚感につつまれ、心がしびれた。海に面したマレコン通りでは、釣りをしている人、のんびり佇んでいる人、ジョギングする人、といろいろ。遠くに要塞が見え、反対にはカラフルな新市街の建物が見える。

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泊まった場所は1800年後期のコロニアルな建物で、中の装飾品も綺麗に残っている。よく、剥奪を逃れたなぁと思う。

朝食後、旧市街に向けて散策を開始。時折怪しそうな人間が今日はサルサパーティだとか、葉巻を半額で売ってあげるとか言い寄ってくるけどしつこくないし可愛いものだ。とにかくどこを切り取っても絵になる、写真を撮り続けていると前に進めないほどだ。世界遺産に指定されている旧市街は比較的綺麗で、観光ツアーの西欧人爺様婆様のグループばかりでちょっと興ざめ。これなら自分が泊まっていた場所の方がよっぽどよかったかもしれない。

ふと気がついたのだが、広告というものを一切見かけない。社会主義だからだ。観光地なのに、ツアー会社も見当たらない。バックパッカー用のバスもあるとガイドブックに書かれていたのでいろいろと情報収集したかったのだが、なかなか難しそうだ。バスのチケットを昨日買っておいてよかった。

ただただここにいる満足感に満たされ、でもちょっぴり心細かった。かつてあんなに一人で旅をしていたのに、最後に本当の一人旅に出たのは3年ほど前のブータン。旅でのふるまい方をちょっと忘れてしまっているような自分がここにはいるのであった。

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ハバナに来たいと思ったのは、10年以上前に見たナショナル・ジオグラフィックの記事が頭に残っていたからだった。古い町並みに佇む子どもたちの写真。そこにはサッカーを興じている子たちもいた。まるであの時見た写真の一コマのように、今日も街角でサッカーをしている子たちを何度も見かけた。

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何故かバスターミナルに2時間前に必ず行きなさいとチケットを売ってくれたおばちゃんが言うので、16:00にバス停へ行くことにした。短い旅なので、一本バスを逃しただけですべてが狂ってしまう。ちょっと待っても安牌な方が良い。郊外のバス停まで行くと、早く来たのは全く意味がなく、17:00にまた来てねとカウンターで言われた。

仕方なくターミナルのショップやレストランでビール飲みながら時間を潰した。なんだか今日は朝からずっとビールを飲んでいるな。たいしてい美味しいビールではないのだが、この旅でずっと四六時中飲み続けることになるのであった。

バスに乗り込むと時差の関係か、ビールが回ったのか、出発前にいつの間にか寝てしまっていた。

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