息子入院する

息子のハルは8歳になった。
病気が治ったら病気だったことなんてきっと忘れてしまうかもしれない、という将来への備忘録。

相変わらず小学3年生なのに、「パパ、そろそろ一緒に寝るよ。」とか言ってくる。
やれやれと思いながらも、そんなこともう言わなくなるのかなと貴重な最後の時間を楽しんでいる。実際ひとりで寝てくれることも増えてきた。
可愛くてしょうがなくてぎゅっと抱きしめ頭をナデナデしていた時期は過ぎ、成長して顔も少年ぽくなってくるとこちらも無条件な可愛がり欲求がなくなってくるから不思議なものだ。こうやって親離れ、子離れしてくんだろうな。

娘を見ているとよく分かるのだが、3歳を境にトイレで用をたせるようになってくる。もちろん個人差はあるのだろうけど、だいたいその頃なんじゃないだろうか。ハルはというと8歳になってもおしっこもうんちも漏らしている。しっかりとした言葉にすると排尿障害と排泄障害だ、なんか病気っぽい。普通の子は2-3時間に一度トイレに行く頻度なのが、ハルは午前中は一時間に一度、夕方は30分に一度トイレに促さないと漏れてしまうようだった。この間隔は大きくなるに連れて徐々に長くなっていったが、それでも夕方以降は可愛そうなほど頻度が短い。そしておしっこが出る、と脳に信号が来てからの我慢できる時間が3分くらいしかなかった。我々でいうと、30分ー1時間おしっこを我慢して、もう無理と思ったとき、その瞬間に彼の脳には初めて信号が来るのではないだろうか。「パパおしっこ」と言われたら、3分以内に走ってトイレを探し、大抵の場合はアウト、となるのだった。

保育園でも年少になっても日中のおもらしが治らず。年中になっても治らず。年長になる頃にはさすがに・・・と先生も心配し始めた。我々も毎日の大量のズボンとパンツの洗濯が大変だったけど、乾燥機を買ってからは若干楽になった。でも大変なことには変わりなかった。ハルはというと、漏らすことが彼の人生でのデフォルト設定なので、あまり気にすることもなく気楽で明るい。この明るさがいいなーと思うとともに、現実的には小学校でイジメられるのが必死・・・と親としては焦りながら、藤が丘の昭和大学付属病院に通い始めた。まだ膀胱が大きくなっておらず、おしっこをうまくためられないのが原因じゃないかとの診断。何回目かに診断に行ったときに、「いっそ小学校でいじめられたら治るかもしれませんよ。いじめられたらいいんですよ、それで意識が変わって治る子はいっぱいいるんです。」と医師に言われ、おいおい、そりゃあんまりだろ・・・と病院を変えることにした。

子供の排尿障害で有名な東京女子医大はとてもいい先生だった。話が長くて待ち時間が3時間はざらというのがたまに傷だったけど、毎回いい先生だなーと思って診断が終わった。症状はとくに良くもならず、葉山に引っ越して通うのが困難になってからは、神奈川のこども医療センターに転院に。

小学校では友人に恵まれ、もらしてもとくにいじめられることはないようだった。
盛大に大きい方を漏らしたときは学校のシャワーで先生に洗ってもらい、親としては申し訳ない気持ちに。保健室に着替えを置かせてもらい、それなりにハプンするけれど相変わらずポジティブキャラなので失敗しても楽しくやっているようだった。

いつか治るだろう、しかし長い付き合いだ・・・3歳で卒業と考えると、もう5年の延長期間。日々彼のおしりを洗い、パンツとズボンも洗いまくる日々。
彼は彼で大変なんだけれど、親も親で大変だった。趣味の山登りや旅行、とくに海外に行くときは、これが治ったら抜本的に楽になるのになーと思ったりもした(そんなのは親の都合以外何者でもないけれど)。おしりとおもらしパンツを洗うのが我々の日課であり日常、だから長い旅行から帰ってきたその日が復帰戦だと、ああ日常に戻ってきたなーとしみじみと思ったりもした。

そんな彼だから友人の家に長く遊びに行ったり泊まりに行ったりすることがほぼできず。親と一緒の時間が多い。それはそれで貴重なギフトなのかもしれないと、仲良く楽しく過ごしている。

数ヶ月前にMRIをとることになった。
すると二分脊椎という症状の脊椎脂肪腫という病名がついて、脳外科に送られることになった。
明らかな脂肪腫とは言えないかもしれないけれど、たしかにその傾向があるとのこと。この脂肪腫が脊椎の神経を引っ張り、成長期に泌尿器感や歩行器官に悪さをするようだった。これが現在の排尿・排泄障害の直接の原因ではないかもしれない。しかし、脂肪腫である以上、ずっと経過観測が必要だし、いつか歩行器に悪さをするかもしれない。だったら取っておきましょう、というのが今回の入院の理由だ。

手術は背中を5cm切って、背骨を外して、脊髄の場所を切ってアプローチして脂肪腫を切るというなかなかハードルが高そうなもの。
どうにもできないのだが、手術中は心配した。そして、手術は無事成功。貴重な体験とすることができた。

さあ、果たしてこれで良くなるんだろうか?

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