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10.ウユニ塩湖
11.催涙ガス、浴びる
12.世界で一番・・・
13.六千メートルの世界
14.Next Stageへ
15.世の中、なんて不平等なんだ



 

 

Bolivia
12.世界で一番・・・

 

そして今日も世界一。
すごいね最近は、世界一だらけで。ちなみにまだ行ってないけど、このラパス近郊には世界で一番標高の高いスキー場がある。そこはChacaltayaと呼ばれ、標高5320m。こんなに標高が高すぎるスキー場ってどんなもんだろう。当然のことながら、すぐに息が切れるらしい。

今日の世界一はあまり名誉なことではない。
それは「Dead Road」と呼ばれる、世界で一番危険な道路。これはいまや「公式」な記録として世界一なのだそうだ。
この道路で年間26台の車が消えるという。一ヶ月に2台の計算だ。どこに消えるかというと、数百メーターの崖下に落ちてしまうというわけ。ちなみに落ちる大型バスは年間4台。一台に付き40人以上の人が乗っているので年間150人ほどの乗客が死ぬという計算だ。

しかし、この危険な道は旅人にはちょっとした人気だ。ここをMTBで走るツアーが、ここラパスから数多く出ているのだ。ツアー名は「downhill thrill」「The dead road」や「MTB in dangerous road in the world」とあまり聞こえの良くない、この道の危険さを強調したもの。
まあ、ともかく、我輩もマウンテンバイカーとして、行かないわけがないのだ。

標高3632mのラパスを早朝に出発して約一時間でLa Cumbreに到着。ここの標高は約4700m。
あーあ、まただ・・・
世界で一番高い舗装路は、パキスタンのカラコラムハイウェイのクンジュラーブ峠であると言われている。僕はそこの峠までがんばって自転車で上がったのだ。その標高は4730m。たった数十メートルしか変わらないとこに、車で一時間で来れちゃうのかよ!
あそこの峠は4000m、あっちの丘は5000m、すぐそこに見える山は6000mです、って、日本で3000m級の山に登って、トルコでは2000mの峠道でゼーゼーして、アフリカ最高峰だ!って5895mの山に登って満足していた自分が、なんだかとってもこっ恥ずかしくなる今日この頃。

ともかく、この峠から目指すは標高1300mのYorosa。その標高差3000m以上。70Kmほとんど全てダウンヒル。たまらないですねえ。

朝もやの中、舗装路を快調にぶっとばした。ギアを一番重くしても、車輪を漕ぐと空回りするほどスピード全快だ。風をきって進んだが、その風の冷たいこと。そりゃそうだ、ここは4000m+なんだから。
一時間ほどで舗装路は終わり、いよいよ本気のダートロード。

ここからが、真のDead Roadの始まりだ。なるほど、山を刻んだようなダートの道が、くねりながら遥か遠くまで続いていた。いかにも、強引に作った道だ。そして聞いていた通り、道路の脇はほぼ垂直に、まるでかまぼこを包丁で切ったみたいに数百メートル下まで断崖となっていた。もちろん、ガードレールなんてない。
車が一台しか通れないような細さなので、事故が多いのも当たり前だと思う。

いざ、その道を降りた。何よりも対向車が心配なので最初は慎重に、そして平気だとわかると、快調にかっ飛ばしまくり。そして、ここの何がすごいかって、やっぱりそれは距離だと思う。はっきり言って、終わりが見えない。さすが標高差3000mだ。こんなの日本にはないんじゃないか。
トレイル自体は日本の林道と同じレベルなので難しくはない。ただ、腕がむしょうに疲れる耐久戦だ。
「うっひょ〜」
と叫びながら、ひたすら下った。
なかなかの絶景である。4700mのアンデスの懐から、降りていくのはボリビアのアマゾンの入り口、熱帯気候。朝はあんなに寒かったのに、標高を下げると半そででも暑いくらいの気温にまで上がり、植生も変化して面白い。
それにしても、よくこんなとこに道路をつくったなあ。

「ガガガガガガガ・ダダダダ・ガガガ」
「スコーン」
と下ること2時間。1600m、Coroicoに到着。基本的に僕は林道よりシングルトラックの方がずっと好きだが、かなり楽しいライディングだった。世界一危険な道路も、まったく危なく感じなかったしね、自転車で降りるに限っては・・・
帰りはこの道を3時間かけてラパスまで戻る。いやぁー、これがかなり怖かった。車が崖ギリギリを走し、死ぬかと思ったよ、まったく。

ちなみに、この世界で一番危険な道路、見るに見かねたどこかの先進国の助けで新しい道路が別の場所に建設中である。近い将来、車さえ気にせずに、もっと楽しんでこの道を走れる日が来るかもしれない。ブラボー!

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ツアー料金は30$〜40$
朝食、昼食、移動費込み。
ディスクブレーキ付きのトレックバイクにメット、グローブ、シャツとショーツのレンタル。そして4700mからのダウンヒル。
日本の感覚から言ったら、このツアー安すぎでしょう、ねえ。

 

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