トップページ
 
    
  2004 Spring
  Summer
  Autumn
  Winter
   
  2005 Spring
  Summer
  Autumn
  Winter
   
  2006 Spring
  Summer
  Autumn
  Winter
   
  2007 Spring
  Summer
  Autumn
  Winter
 
  2008 Spring
  Summer

 

 

 

2005 Summer

@7月27日

夜、久しぶりに富士山が見えた。ポツリポツリと光が見える。山小屋の光だ。ああ、今もあそこを歩いている人がたくさんいるんだなー、そんな季節になったのか、とちょっと不思議な気分。
とあるところで、とある男が国をつくった。初めに何も持っていなかった男は攻めの姿勢一本、奇想天外なアイデアで国をどんどん立派につくり上げていった。国は広大になり兵隊も国民も次々に増えていった。
しかし、国が大きくなって立派になればなるほど、男は国を守ることにたくさんの力を注がねばならなくなった。そして国は古臭くてつまらないものになっていった。いつの時代も、世界中どこでも、おこっている事だ。
帝国は持たないほうがいいのかもしれない。身動きが取れて、自由で、新しい攻める姿勢を忘れないように。

@8月2日

人生が退屈だ。
刺激が少ない。
旅から帰ってきて、妙に充足感があったから、のんび〜りしてたけど。
そろそろ、冬眠から覚めて新しいことを始める時期なのかもしれない。
とりあえず、手銛をつくって、島に魚を突きにいこっと。

@8月10日

下田からフェリーで3時間。神津島に行った。
満点の星空。美しい海。静寂とは無縁の虫たちの大声。
魚のように自由に海を泳ぎ、手製の銛で彼らを突き、ただ食って呑んで寝るだけの生活。
人間失格になりたいと思った。
ここはなんて素敵なんだ! 2泊3日なんてせこいこと言わないで、落伍者になって帰りのフェリーを乗り過ごして、このまま島に居つきたくなった、、、

 

@9月1日

熱海の小さな焼き鳥屋さんに行った。
去年から何気なく気になっていた、カウンターしかない店。
やはり、直感的に気になるとこには何かがあるみたいだ。
気さくなおじちゃんとおばちゃんが経営している、本当に小さな店だったけど、メニューも雰囲気もお客も面白い。
カウンターにはおじちゃんが好きな誌や、文章が貼り付けてある。俺の目の前にあったのは『雨ミモ負ケズ』。
でもって、メニューはボンベイチキン、トムヤンクン、ピリ辛ケバブ、貧乏屋のカツ煮、などなど、とてもただの焼き鳥屋には思えない、旅人の匂いがビビビビ。
客のほうはこれからスペインに出稼ぎに行きたい26歳の若者。
店主のおじさんと話をすると、やはり、インドに長期滞在していたもと旅人だった。
一緒に行った友達そっち抜けで、おじさんや若者と話が弾んでしまった。
控えめそうなおじさんは、時折にこやかにインドのことを語る。
「インドは日本よりずっとずっと豊かな国だよ、あれだけの乞食を養う寛大な懐があるのだから。日本に乞食はいないだろ、ちっぽけで心が狭い国なんだ」
静かで控えめで、それでいて熱いハートを持っていて。
帰り際、おばちゃんに年を聞かれた。
「もう29ですよ」と答えると、
「まだ29じゃない、まだまだ旅ができるわね。旅に出なさい」。
無性にどこかに行きたくなる、今日この頃なのだ。

 

▲top


All text and images © 2007 tabibum . All rights reserved