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1.水下痢のハンガーノック
2.風の谷・フンザ
3.氷河の音と、星降る夜と
4.パスー氷河へ
5.4730m、クンジュラーブ峠

 
 

1.中国政府につかまる
2.パミール高原を駆ける
3.天上の世界から下界へ
4.ロバートからの手紙

 
 

1.カラコラムのサイクリストたち
2.旅行データ
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Karakoram Range
3. 氷河の音と、星降る夜と

 

カリマバード滞在初夜に停電がおき、一瞬街から全ての明かりが消えた。そのとき空には満点の星空が広がった。
翌日ベッドから起きあがっても前日の星空が忘れられない。街から離れた明かりの届かない地に無性にテントを張ってみたくなってしまった。
昼になり、突然だがガイドの手配をし、2時間後にガイドに宿に来てもらう交渉をする。その間にパッキングを済ませ、アンジェラにメモ書きを残すと、僕と地元のガイドはUltar峰のベースキャンプへと向かった。

ガイド料は300ルピー、約600円。正式な山岳ガイドではなく地元の人間だからこんなに安いのだが、それにしてもあんな時間に交渉してすぐガイドが来てくれる、その手際の良さに驚いた。

Ultar 峰へは何通りかの行き方があるが、時期によっては道が雨で崩壊していたりするので、ガイドを雇う必要性は十分ある。今回は通常使われるルートが今崩れているというので、Baltit Fort の脇を抜け、畑の中を進み水路を辿っていく進路をとった。
山肌があまりにも乾燥しているので、日本の湿気のある山々が恋しくなった。

 3時間ほどでUltarのベースキャンプに到着。標高は3270m。キャンプサイトには牧草が生えていて、羊も飼われている。なのでちょっくらウンコ臭いのだ。
カリマバードから見えていた山々はここではさらに身近に感じた。Ultar 峰で命を落とした日本の長谷川恒夫の墓があった。

午後7時20分。全てのピークから陽が消えた。
今晩の星空は昨日にはかなわなかったが、氷河の崩壊する音をバックミュージックにした、月明かりに照らされた山々が美しかった。


 

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